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何故このような作品が
受け入れられたのか?
当初は極めてマイナーなジャンルであった「JUNE」も、90年代初めには大手出版会社が出そろい、「ボーイズラブ」は一つのジャンルとして、すっかり確立されました。
しかしなぜ、少年の同性愛を題材とした小説などが女性に受け入れられたのでしょうか?
理由について仮説は様々ありますが、これという定説は存在しませんので、仮説をいくつか紹介しましょう。
まず、「ボーイズラブはファンタジーだ」と言われます。
確かに女性は、男性の同性愛は決して経験の出来ないことです。そういう意味ではファンタジー(空想)です。しかし、どうやっても経験が出来ないことは他にもあり、この仮説は説得力に欠けます。
また仮説として、感情移入がし易いとも言われます。
同性同士だと立場が対等なため、人間関係がさっぱりとしているというのです。
しかしボーイズラブは、友情などを恋愛感情で表現したものであり、心の結びつきを重視するものです。「「さっぱりした人間関係がいい」とは、矛盾します。
また、男女の恋愛だと結婚や出産といった、自分にとっても現実的な問題を連想してしまうが、同性愛だとそれがないということも言われます。しかし、そうならば、そのような話は読まなければいいのであって、わざわざお金を出してボーイズラブを買って読んでいる理由の説明がつきません。
また仮説として、男女の性行為を描いたものは卑猥でグロテスクに感じるが、美形の男同士ならば現実味を感じないため読むことができると言われますが、ボーイズラブにおける性的表現は、性的好奇心を刺激するのが目的ではないので当てはまりません。
また仮説として、好きなキャラクターが女性キャラクターと恋仲になるのは許せなく、いっそう男性キャラクターと恋仲にしてしまえという説もあります。
パロディなら理解できますが、オリジナルの作品には全く当てはまりません。また恋仲になる男性キャラクターにこだわりを持つ人もいることから、ボーイズラブが受け入れられている説明としてはあまりにも弱すぎます。
また仮説として、隠し事を持つスリルを味わっているとも言われます。
多くの読者は同性愛の思考を持たず、現実の同性愛への理解もあるとは言えません。同性愛者に対する風当たりが依然として強い日本に於いては、多くの読者は自分がボーイズラブを読んでいることを隠したがる傾向にあると言われます。自分がそのような作品を書いていることを隠したがる著者すらいます。
しかし周りの人に知られても、異性の同性愛が題材ですから自分が同性愛者ということにはなりません。また出版社や書店も女性向けと言っていると言い訳もたちます。
しかし一般的ではなく隠しておきたいが知られても大した問題ではないものは他にもあり、説得力に欠けます。
このように仮説は様々ありますが、「JUNE」や「やおい」、「ボーイズラブ」が女性(性表現が過激になるにつれて男性)にも受け入れられているのは、上記の仮説も含めて様々な理由が重なり合ってのことではないでしょうか。
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